今回は介護保険制度について簡単にお話させて頂きます。                                            2000年に作られた制度です。まずは介護保険制度がいったいどのような制度なのか解説していきます。                                     (介護保険制度が作られる前の様々な問題点)                                                                  ●老人福祉の問題                                                                              老人福祉の対象は「特別養護老人ホーム」「ホームヘルプサービス」「デイサービス」といった介護施設で受けられるサービスです。老人福祉での問題は次の通りです。                                                                               ①利用者さまがサービスを選択できない。                                                                    ②所得調査が必要になるため心理的な抵抗感が生まれる。                                                           ③市町村が直接運営もしくは委託運営するサービスが基本となっているのでサービスが同じようになりがち。 ④収入によって利用者さまの負担が増えるため中所得者や高所得者にとって負担が重くなってしまう。                                                             ●老人医療の問題                                                                                    老人医療の対象は「老人保健施設」「療養型病床群」「一般病棟」「訪問看護」「デイケア」といった医療的ケアも可能な施設で受けられるサービスです。老人医療では次の問題がありました。                                                         ①福祉サービスの基盤整備が不十分。                                                                  ②介護を理由にした一般病院への長期入院の問題。                                                              ③特別養護老人ホームや老人保健施設よりも医療費が高くなる。                                                         ④要介護者が長期的に療養する施設が整っていない。 老人医療を担っていた病院は基本的に治療をする事がメインと考えられていたため、スタッフや環境面が介護向けに整っていなかった事が、問題の原因と考えられます。居室の面積が狭いこと、食堂や浴室が介護用に整備されていないこと等の理由もあり、要介護者が長期的に暮らすのは難しいと考えられるようになっていきました。このように老人福祉と老人介護には様々な問題があり、これ以上高齢者が増えると老人福祉や老人医療制度による対応の限界が訪れるのではと懸念されるようになってきました。それが介護保険制度の導入を考える要因の1つになったと考えられます。